令和4年度税制改正(住宅ローン控除税制) 2022.3.31

令和4年度税制改正(住宅ローン控除税制)

自由民主党税制調査会は、令和3年12月10日に「成長と分配の好循環の実現」「経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直し」「国際課税制度の見直し」「円滑・適正な納税のための環境整備」等を柱とした令和4年度税制改正大綱を取りまとめました。
種々の改正事項の中から、今回は「住宅ローン控除税制」の改正事項に関する説明をさせて頂きます。

  1. 住宅ローン控除の見直し
    住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について適用期限を従来の令和3年12月31日を令和7年12月31日まで4年延長されることとなりました。その他の主な要件は、下記の内容となります。
  2. 適用対象者の所得要件が現行の3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられることとなりました。
  3. 個人が取得した床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋で令和5年12月31日以前に建築確認を受けたものの新築又は当該家屋で建築後使用されたことのないものの取得についても、適用ができることとなります。但し、控除期間のうち、その者のその年分の所得税に係る合計所得が1,000万円を超える年については、適用することができません。
  4. 既存住宅の要件について、築年数要件を廃止するとともに、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋(登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋については、新耐震基準に適合している住宅の用に供する家屋とみなされます。)であることを加えます。
  5. 令和4年分以後の所得税において住宅ローン控除の適用がある者のうち、当該年分の住宅ローン控除額から当該年分の所得税額を控除した残額があるものについては、翌年度分の個人住民税において、当該残額に相当する額を当該年度分の所得税の課税総所得金額等の額に100分の5を乗じて得た額(最高97,500円)の控除限度額の範囲内で減額します。
  6. 【認定住宅等以外の住宅の場合】

    居住年 借入限度額 控除率 控除期間
    令和4・5年 3,000万円 0.7% 13年
    令和6・7年 2,000万円 10年

    【認定住宅等の場合】

    居住年 借入限度額 控除率 控除期間
    認定住宅 令和4・5年 5,000万円 0.7% 13年
    令和6・7年 4,500万円
    ZEH水準
    省エネ住宅
    令和4・5年 4,500万円
    令和6・7年 3,500万円
    省エネ基準
    適合住宅
    令和4・5年 4,000万円
    令和6・7年 3,000万円

    取得又は建築等する住宅の種類・居住年分により借入限度額が決定されるという点は、改正前と変更はないということとなります。しかし、要件は複雑多岐に渡っています(上記で説明した5つの要件のみではありません。)ので、住宅を取得又は建築等をする際には、先ずは要件を満たすことができるのか否かを確認して頂くことが賢明かと思います。判断にお悩みの場合には、最寄りの税理士にご相談頂くことをお勧め致します。

    <参考資料> 令和4年度税制改正大綱

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佐藤易秀

税理士法人名南経営 会計部 マネージャー

1999年税理士法人名南経営に入社。
税理士として、病院・クリニック・社会福祉法人・公益法人等、幅広い種類の法人・個人の会計・税務顧問業務を中心にクライアントの個別のニーズに柔軟に対応、支援を行っている。上記の税務顧問業務から付随的に発生した多方面にわたる各種コンサルティング業務へも従事している。その他医療機関向けの税制改正のセミナーを多数行っている。