医療機関と事業復活支援金 2022.2.28

医療機関と事業復活支援金

事業復活支援金は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上が大きく減少している中小法人や個人事業者等に対して、2021年11月から2022年3月までの期間における影響を緩和して、事業の継続及び立て直しのための取組を支援するため、事業全般に広く使える支援金を迅速かつ公正に給付するものとされています。

この助成金の特徴は2021年11月から2022年3月までの各月の売り上げを、過去3年の同月の売り上げと比較して30%以上減少しているかどうかが支給の要件の一つとなっている点です。

つまり、比較する期間が非常に長いのが特徴です。新型コロナウイルスが世の中に影響しだしたのが2020年初めですからその前年からの比較になります。2018年11月から2019年3月まで、2019年11月から2020年3月まで又は2020年11月から2021年3月までの期間と比較する
ことになります。

これまでの新型コロナウイルスの影響に対する助成制度である一時支援金や月次支援金は、50%以上減少していることが要件でしたから該当する医療機関は限られていました。しかし今回は30%以上の減少と支給要件のバーが下げられたため多くの医療機関が該当してくるのではないかと考えられます。

私の担当する整形外科クリニックでも、30%以上減少した月はないのではないかと思っていたのですが、今期を含めて4期分の各月のデータを見返してみると2021年1月の数字が2019年1月よりも30%をわずかに超えて減少していたことがわかりました。

年間平均でみるとそれほど大幅に減少していなくても、緊急事態宣言が発出されたタイミングなど、意外に大きく減少していることがあるかもしれません。一度、詳細なデータで見返してみることをお勧めいたします。

(参考:中小企業庁 事業復活支援金事務事業)

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井上健

税理士法人名南経営 会計部 マネージャー

1991年税理士法人名南経営に入社。
入社当時から病院、診療所、歯科医院等の医療機関の会計、税務顧問業務を主に担当。2000年の介護保険導入を機に社会福祉法人への支援を開始。現在は社会福祉法人、医療法人、公益法人等のパブリックセクターの会計、税務を専門分野とし、社会福祉法人の新会計基準移行・法改正コンサルティングなどの支援を行っている。社会福祉法人関連団体からの講演依頼多数。