医療機関のキャッシュレス決済 2022.1.26

医療機関のキャッシュレス決済

2020年に始まったCOVID-19渦の影響もあり、多くの業界で非接触を利点とするキャッシュレス決済が増加しています。経済産業省が2021年に調査した時点では、回答した事業者(1,189社)のうち、キャッシュレス決済導入率は約7割という結果だったそうです。(経済産業省:キャッシュレス決済実態調査アンケート集計結果2021年)

ちなみにこの調査でのキャッシュレスの定義はクレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、電子マネー、QRコードなどによるカード、携帯電話、スマートフォンによる支払いをいいます。

この調査では、医療分野のカテゴリーがないので医療機関の導入率は不明ですが、弊法人での2020年秋に行った調査では、医療機関のキャッシュレス決済の導入率は2割弱の結果でした。医療機関側のメリットとしては、受付スタッフの負担軽減、未収の防止がありますが、デメリットとしては、保険診療においては患者さんの自己負担金が診療報酬という公定価格制度にあるため、キャッシュレス決済により手数料が生じることや入金までの時間差が生じるということもあります。

入院機能のある病院では、自己負担金も高額になることから、キャッシュレス決済の導入は先行しているようですが、診療所においては上記の手数料による収益減を懸念されているようです。

ただし最近ではキャッシュレスに慣れて現金を持ち歩かない人も増えており、このような人が急に体調を崩し、クリニックを受診することも考えられます。自院の環境も勘案し、キャッシュレス決済の導入の検討を図られてはいかがでしょうか。

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六谷秀生

税理士法人名南経営 理事
株式会社名南財産コンサルタンツ 取締役

1989年税理士法人名南経営に入社。
医療機関及び一般中小企業の会計・税務顧問業務に従事。一般企業においては、中小企業の経営者からの相談対応を行い、医療機関では、認定登録医業経営コンサルタントとして個人診療所から医療法人、大規模医療法人まで幅広くコンサルティングを行っている。また、公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会愛知県支部の支部長を担当しており、愛知県内の協会活動実施と、愛知県からの受託業務等も実施している。