電子帳簿等保存制度の見直し 2021.7.30

電子帳簿等保存制度の見直し

電子帳簿保存法は、平成10年に「高度情報・ペーパーレス化社会に対応し、国税の納税義務の適正な履行を確保しつつ納税者等の国税関係帳簿書類の保存に係る負担を軽減」するために、税制改正の一環として創設されました。
しかしながら、①創設当初の対象書類は自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する帳簿と書類のみとされていたこと、②真実性の確保・可視性の確保のために、多くの技術的な要件が規定されていたこと等が要因となり、制度の普及が進まなかった背景がありました。その後、e-文書法の施行・電子帳簿保存法に係る何度かの改正が行われてきましたが、普及が十分なものとはなっておりませんでした。
令和3年度税制改正において更なる改正が行われることとなり、令和4年1月1日から施行されることとなりました。制度の内容・改正事項は、下記の通りとなります。

【電子帳簿等保存制度とは】
法人税法・所得税法等の各税法において、原則として紙での保存が義務付けられている帳簿書類に関して、一定の要件を充足した上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた制度が、「電子帳簿保存法制度」となります。
電子帳簿保存法上では、電磁的記録による保存を下記の3種類に区分しています。
①電子帳簿等保存 (電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存する。)
②スキャナ保存 (紙で受領・作成した書類を画像データで保存する。)
③電子取引 (電子的に授受した取引情報をデータで保存する。)

【改正事項】
①電子帳簿等保存
税務署長の事前承認制度の廃止
優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の整備
最低限の要件を充足する電子帳簿の電磁的記録による保存の容認
②スキャナ保存
税務署長の事前承認制度の廃止
タイムスタンプ要件・検索要件等の緩和
適正事務処理要件の廃止
スキャナ保存された電磁的記録に関する不正に対する重加算税の加重措置の整備
③電子取引
タイムスタンプ要件・検索要件の緩和
申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録を「紙への出力書面により保存する」という代替措置の廃止
電子取引の取引情報に係る電磁的記録に関する隠蔽又は仮装に対する重加算税の加重措置の整備

改正事項に関する詳細な内容及び自院の経営に有益となるための最適な対応策に関しましては、税理士等の専門家に確認して頂くことをお勧め致します。

佐藤易秀

税理士法人名南経営 会計部 マネージャー

1999年税理士法人名南経営に入社。
税理士として、病院・クリニック・社会福祉法人・公益法人等、幅広い種類の法人・個人の会計・税務顧問業務を中心にクライアントの個別のニーズに柔軟に対応、支援を行っている。上記の税務顧問業務から付随的に発生した多方面にわたる各種コンサルティング業務へも従事している。その他医療機関向けの税制改正のセミナーを多数行っている。