オンライン資格確認等システム(マイナンバーカードの保険証利用)10月まで延期 2021.6.1
「オンライン資格確認」は、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認ができることをいいます。
令和3年3月スタートに向けプレ運用が行われたが、保険者が入力するマイナンバーなどのデータの正確性に課題、医療機関の準備遅れがあるなどとして、本格運用の開始時期を最長で令和3年10月まで延期することが、3月26日の厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会で報告されました。
厚労省は遅くとも10月までとしている本格導入前に、運用する医療機関を10万施設まで拡大させたいとしています。
医療機関のメリットとしては、以下の内容が挙げられます。
①患者の保険資格がその場で確認できるようになるため、資格過誤によるレセプト返戻が減り、窓口業務が削減されます。
②マイナンバーカードの読込みにより、最新の保険資格を自動的に医療機関システムで取り込みことができ、入力の手間が省けます。
③一括照会により、事前に予約されている患者等の保険資格が有効か、保険情報が変わっていないかを把握することができます。
④これまで限度額適用認定証等は患者が保険者へ必要となった際に申請を行わなければ発行されませんでしたが、システムから取得ができます。
⑤患者の薬剤情報・特定健診等情報を有資格者等が閲覧することができます。
マイナンバーカードを持参し保険資格の確認をする患者に対応するためには、①資格確認のための機器の設置、②システムの改修等が必要です。
①資格確認のための機器の設置
「顔認証付きカードリーダー」は、医療機関及び薬局に無償提供されます。(病院3台まで、診療所等1台)
②システムの改修等の補助
以下の上限額と割合で補助されます。
(例えば3台導入する場合)基準とする事業額190.3万円を上限にその1/2が補助されます。
なお、令和3年3月末までに実施していた導入費全額補助の特例措置は、期限延長されず打ち切りとなりました。
現状の申し込み状況は、病院・薬局は80%前後と高い一方で、診療所(医科・歯科)は50%弱と差がある状況となっています。
令和3年5月23日時点
業務のICT化がコロナ等の影響もあり加速度的に進むことが予想される中で、患者からも求められる場面が増え、先々には多くの医療機関において「オンライン資格確認」の導入をすることが予想されます。カードリーダーの申し込み状況からも、本格運用時には多くの病院や薬局が運用開始することが予想されます。オンライン資格確認に参加するか検討中の医療機関も、前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
久保光司
株式会社名南メディケアコンサルティング取締役
税理士法人名南経営 医業経営支援部 部長
1991年税理士法人名南経営に入社。
入社以来、医療・介護・福祉分野を専門分野とし、会計税務顧問業務のみならず各種コンサルティング業務に従事。現在は、医療機関・社会福祉法人・介護事業者への新規事業参入支援、収益改善・業務改善支援等のコンサルティング業務を中心に活動している。また、医療法人制度に精通し、個別ニーズに合わせた医療法人の事業承継対策の立案・実行支援を多数実施している。