問われる“老人保健施設”の役割と再定義 2020.6.1

問われる“老人保健施設”の役割と再定義

コロナウィルスが蔓延する中、「不要不急」なサービスは、自粛の対象となってしまいました。医療、介護業界でも、キャンセルという形で、利用抑制、自粛が経営に大きな影響を与えています。そんな中、改めて「不要不急」から、「必要・緊急(至急)」なサービスであることの重要性を改めて実感させられます。
 
利用者・家族から「必要・緊急(至急)」と思ってもらえるサービス提供、サービスの位置づけをどうしていくか。今一度、自施設の“役割”“機能”“効果”について見直し、アフターコロナに向けた戦略を立てていきたいものです。そこで、今回は、前回の介護報酬改定で、大きくその役割を再確認された「介護老人保健施設」について取り上げたいと思います。
 
平成30年度の介護報酬の改定において、創設された老人保健施設の在宅復帰・在宅療養支援等指標を基準とした5分類。指標70以上「超強化型」、60以上「強化型」、40以上「加算型」、20以上「基本型」、20未満「その他型」に分け、それぞれ報酬に差を付けました。入所機能は、まさしく“在宅復帰“をキーワードに今後も進められるかたちとなりました。
 
入所稼働を優先し、特養と同様な長期入所を軸とした施設運営をしている施設は、この改革、改正とのギャップ(経営課題)が生まれてしまっているとも言えます。
 
改正から、2年経過したものの、お客様によっては、加算型にできていない施設がまだあります。愛知県内では、基本型(加算なし)の施設が50施設。5月1日現在(愛知県介護保険課介護保険事業者一覧より)となっています。
 
基本型と加算型の差は、34単位差です。100床規模の施設では、年間、
34単位×100床×365日=1,241,000(単位)12,410,000円(100%稼働時)の収益の差となります。これは、単に加算分増収になるという部分で、優位であるだけではないと捉えることができます。
 
以下のスライドをご覧ください。
【改定後の老人保健施設の類型】

改革の方向性は、超強化型をフラッグシップとして、老人保健施設本来の機能、中間施設としての役割を改めて“在宅復帰機能”として地域包括ケアの一翼を担うような形となっています。
 
超強化型に向けて指標の点数を積み上げることで、その施設には、「役割」・地域での機能がより明確化されていきます。具体的には、多職種(リハ専門職や支援相談員の充実)、や多機能(通所、訪問、入所リハビリ、中重度者の受入、在宅サービスとの連携等)が付加価値として、地域で存在感を出すことができる可能性を秘めていることです。
 
これは、入所だけでなく、通所リハ(デイケア)にも言えることです。従来入所サービスとセットで、6-7H等の長時間の通所リハを提供しているのが老健の定番でした。ただ、通所介護と通所リハの違いが求められる改革の流れの中で、通所リハにも一定の役割=維持期・生活期のリハビリテーションの機能が求められてきています。通所介護事業所の乱立等の背景もあり、稼働がなかなか上がっていない施設も少なくありません。ここにも制度改革と実態のギャップが生じているとも言えます。
 
以上のように老人保健施設には、入所や通所サービスともに、改めて自施設のサービスを見直す時期に来ているとも言えます。来春介護報酬改定を控えています。今一度、地域包括ケアシステム、ネットワークの中の一端を担える、そんな施設づくりのために、在宅復帰・在宅療養支援等指標に、前向きに取り組んでみてはいかがでしょうか?

コロナに負けない施設づくりを応援しています。

川瀬大輔

2017年税理士法人名南経営入社 民間病院に23年間勤務。1993年MSWにて入職、介護支援専門員として勤務後、事務長として管理業務に従事。院内における相談部門、業務、地域連携体制の確立をはじめ、主に法人の新規事業、企画等に携わり、患者の視点、専門職の立場から、病院・介護事業所経営に携わる。現在は、中小病院における経営・業務改善や病床再編、介護保険事業の開設支援や経営・業務改善等の支援業務を中心に行っている。