確定申告(財産債務調書)について 2020.3.25
今年はコロナウイルスの関係で申告期限が1か月伸びるという異例の措置が取られていますが、例年ですと3月15日が期限となる確定申告という会計事務所にとっては一大イベントがあります。
確定申告については、医師・サラリーマンなどに限定されず、一定の要件を満たした場合には行う必要があります。
(詳細はこちら⇒https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm)
その確定申告書を提出しなければならない方で、以下の条件を満たす場合は、申告書に加えて、別に財産債務調書という資料を作成して提出しなければいけません。
<条件>
①その年分の退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超える方
かつ
②その年の12月31日において、その価額の合計額が3億円以上の財産を有する方
又は
③その価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産(例:有価証券や出資金等)を有する方
その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を、その年の翌年の3月15日までに、所得税の納税地の所轄税務署長に提出となります。
財産債務調書の提出に関しては、適正な提出を行ってもらうために次の措置が講じられています。
A.財産債務調書の提出がある場合の過少申告加算税等の軽減措置
提出期限内に提出すると財産若しくは債務に対する所得税等又は相続税の申告漏れ
⇒申告漏れ部分に係る過少申告加算税等が5%軽減
B.財産債務調書の提出がない場合等の過少申告加算税等の加重措置
提出期限内に提出がない場合又は提出期限内に提出された調書に記載すべき財産若しくは債務の記載がない場合
⇒申告漏れ(死亡した方に係るものを除く)部分に係る過少申告加算税等が5%加重
以下の事項が該当するため、提出の必要がある方は、漏れがないように注意が必要です。
(財産債務の区分及び記載事項)※主なもの抜粋
1.土地
2.建物
3.山林
4.現金
5.預貯金
6.有価証券
7.匿名組合契約の出資持分
8.貸付金
9.未収入金
10.書画骨董及び美術工芸品
11.貴金属類
12.借入金
13.未払金 ほか
・個人で事業を行っている方は、事業用資産も事業外資産も記載が必要となりますので、個人で医療機関を運営している方で、土地建物が自己所有であり、医療機器を多く導入している方であれば、要件を満たす可能性もありますので、注意が必要です。
・提出期限内に財産債務調書を提出出来なかった場合であっても、その財産債務に関する所得税又は相続税について、調査があったことにより更正又は決定があるべきことを予知したものでないときは、その財産債務調書は提出期限内に提出されたものとみなして、過少申告加算税等の特例を適用することとされていますので、気づいた時点で提出が必要となりますので、注意が必要です。
冨本健嗣
税理士法人名南経営 医業経営支援部マネージャー
株式会社名南メディケアコンサルティング 本部長
2003年税理士法人名南経営に入社。
税理士法人名南経営に入社後、病院及び診療所、歯科診療所等の医療機関・介護事業所・社会福祉法人専門の部署を経験し、税理士事務所としての税務顧問業務だけでなく認定登録医業経営コンサルタントとして各種コンサルティング業務や官公庁への諸手続及び各種セミナー講師まで幅広く業務を行っている。昨今では医療法人設立・出資金等の事業承継対策の相談も多く、北海道から沖縄まで非常に広範囲でコンサルティングを行っている。