医療機関の消費税問題 2018.7.24

医療機関の消費税問題

2019年10月に消費税が10%に引き上げられる予定ですが、今度の税率の引き上げでは軽減税率の導入などもされる準備が進められています。

ところで社会保険診療などについて消費税は非課税とされています。
保険者や患者から支払われる医療費には消費税は課税されていませんが、医療機関では薬の仕入れや医療器械の購入、テナントの家賃など消費税を支払っています。

国は診療報酬に消費税分を上乗せして医療機関へ支払っているとしていますが、高額な医療器械を積極的に導入する医療機関とそうでない医療機関を比べても入ってくる診療報酬に差はないため公平ではないのではないかという声もあがっています。

2018年税制改正大綱において「医療に係る消費税のあり方については、医療保険制度における手当のあり方の検討等とあわせて、医療関係者、保険者等の意見、特に高額な設備投資にかかる負担が大きいとの指摘等も踏まえ、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分に配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ、平成31年度税制改正に際し、税制上の抜本的な解決に向けて総合的に検討し、結論を得る。」と明記されました。

平成の始まりとともに導入された消費税は、平成の終わりの時に医療機関にとって大きな転換点となりそうです。

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井上健

税理士法人名南経営 会計部 マネージャー

1991年税理士法人名南経営に入社。
入社当時から病院、診療所、歯科医院等の医療機関の会計、税務顧問業務を主に担当。2000年の介護保険導入を機に社会福祉法人への支援を開始。現在は社会福祉法人、医療法人、公益法人等のパブリックセクターの会計、税務を専門分野とし、社会福祉法人の新会計基準移行・法改正コンサルティングなどの支援を行っている。社会福祉法人関連団体からの講演依頼多数。