地域機能確保の為の個人開設医療機関への軽減措置について 2017.9.28
H30年の税制改正要望の中で、厚生労働省より個人医療機関向けの軽減措置の要望がありました。
要望内容は、
相続が生じた場合に、診療所(病院)を5年間継続して運営することを要件に、
相続する資産額のうち「医療に必要な資産額」に相当する相続税の額をし納税猶予とし、
次世代に医業承継すれば免除という制度です。
対象:
個人開設の診療(病院)としており、地域の医療機能を維持する為に、
必要であると都道府県知事が認めたもの
相続税の計算方法
相続税額=(資産の評価額-医療に必要な資産の評価額※)×税率
※医療に必要な資産とは、診療所(病院)のための土地、建物および一定の医療機器等。
社会的な問題として、人口減少による地域機能の衰退と医師の高齢化、
医師偏在の中、地方では人々の生活の基盤の一つである医療体制に不安が生じていることと、
突然の相続で個人の相続財産に診療所の土地及び建物を含めて評価されると多額の相続税が
課され、医業の継続が困難になるのを防ぐためです。
厚生労働省からの税改正の要望ですので、実際に決定されるかは不透明ですが、
地域の医療機能の確保のためには、必要となってくる制度の一つではないでしょうか。
加藤尚孝
税理士法人名南経営 理事
株式会社名南メディケアコンサルティング 本部長
1994年税理士法人名南経営に入社。 医療機関・薬局を専門とした税務顧問担当者として顧客の税務及び経営指導業務を行う傍ら、診療所の開業支援業務を中心に顧客創造活動に携わる。その後、豊田事務所長、三河本部長を経て2011年より理事に就任、現在に至る。また、2016年からは医療介護部門の統括責任者として当社の経営の根幹を担うとともに、現在も税務・経営指導を行うなど幅広く活動している。