住宅取得等資金に関する贈与税の非課税制度 2026.8.27
マイホームを購入するにあたり、両親から資金援助してもらうことは珍しくありません。近年、住宅価格は2021年のウッドショックから右肩上がりを続け、2026年現在も依然として高騰しています。
令和8年5月に国税庁が発表した「令和7年分の贈与税の申告状況」によると、住宅取得等資金の非課税制度を利用した納税者の数は、令和6年約45,000人 に対し、令和7年は約53,000人とおよそ16.8%の増加という結果でした。
近年の建築価格の高騰もあり、全額銀行からの借り入れ(住宅ローン)を利用するのではなく、一部は両親等からの資金援助によって借入額を減らしてマイホームを購入する人が増加しています。
また、この制度はご子息様側においては資金援助によって借入額を減らせるというメリットがありますが、資金提供する側(両親である医師の先生側)においても、相続対策として、将来の相続税負担を減らすことができるというメリットもあります。
医師の先生の多くは将来の相続があった際、ご子息等に課税される相続税負担について悩まれる方も多いかと思います。この制度を活用すれば一定の財産を非課税としてご子息に渡すことができるため、ひとつの相続対策にもなり得ます。
贈与税の非課税枠は、ご存じの通り暦年110万円以下ですが、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」という制度を利用して贈与税申告を行えば、最大1,000万円まで贈与税が非課税になります。つまり、最大1,000万円まで、贈与税がかからないため、その金額分の相続対策として活用できます。
ただし、この制度を利用するためには要件がいくつかあります。ひとつでも満たさなければせっかくの両親等からの資金援助に対して贈与税が課税されてしまい、相続対策も失敗してしまいます。予めどのようなスケジュールで、どのような手続きを踏む必要があるか確認しておきたいところです。
今回の記事では、制度の概要、非課税限度額、受贈者の要件について記載します。
詳細は国税庁ホームページもご参照ください。
制度の概要
令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に父母や祖父母などの直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(以下「新築等」といいます。) の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます) を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、一定の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります(以下、この制度を新非課税制度といいます。)。
非課税限度額
受贈者ごとの非課税限度額は、受贈者が新非課税制度の適用を受けようとする住宅用の家屋の種類に応じた次の表の金額となります。
なお、既に新非課税制度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額となります。
省エネ等住宅 |
左記以外の住宅 |
|
|---|---|---|
| 令和6年1月1日から 令和8年12月31日まで |
1,000万円 | 500万円 |
受贈者の要件
次の要件のすべてを満たす受贈者が新非課税制度の対象となります。
(1) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
(注) 配偶者の父母(または祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。
(2) 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。
(3) 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)であること。
(4) 平成21年分から令和5年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けたことがないこと。
(5) 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。
(6) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
(7) 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。
(8) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。


