令和8年度税制改正 2026.1.27

令和8年度税制改正

令和7年12月19日に令和8年度税制改正大綱が発表されました。
国会による審議前の段階ですが、実務に関係することをいくつかご紹介できたらと思います。

個人所得課税

個人所得課税においては、物価上昇に連動して給与所得控除・基礎控除等の見直しが行われます。
具体的には、給与所得控除の最低保障額は65万円から69万円へ引き上げられ、令和8年分及び令和9年分については、特例としてさらに5万円引き上げられます。(69万円+5万円=74万円)
基礎控除については、合計所得金額が2,350万円以下である個人の控除額が4万円引き上げられます。(58万円→62万円)
基礎控除の特例(控除の加算額)についても、合計所得金額が489万円以下である場合は42万円、489万円超である場合には5万円が、令和8年分及び令和9年分にて加算されます。
また、配偶者控除および配偶者特別控除の所得要件が見直され、配偶者の収入増加に伴う控除額減少のハードルが緩和されました。これにより共働き世帯の税負担調整が進み、多様な働き方に対応した税制設計が進められています。

法人課税

法人課税においては、少額減価償却資産の特例や賃上げ促進税制の要件について見直しが行われます。
具体的には、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象となる減価償却資産の取得価額が30万円未満→40万円未満に引き上げられます。ただし、適用を受ける事業年度ごとの上限額は年間300万円で変わりません。また、適用期限が3年延長され令和11年3月31日までとなります。(所得税も同様)
こちらの改正により、租税特別措置(中小企業投資促進税制等)の取得価額要件についても変更があり、対象資産(工具及び器具備品)の取得価額は30万円以上→40万円以上となります。
また、適用対象法人の要件である常時使用する従業員の数のボーダーについても、500人以下→400人以下へ変わり、適用対象法人の範囲が狭くなっています。
給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度については、大企業向けは令和8年3月31日をもって、中堅企業向けは令和9年3月31日をもって廃止し、適用期間内についても要件等が厳しくなります。
また、令和8年3月31日をもって、中小企業向けの措置における教育訓練費に係る上乗せ措置が廃止されます。そのため、最大控除額は控除対象雇用者給与等支給増加額の45%→35%となります。

消費課税

消費課税においては、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置について見直しがあります。
現行では、免税事業者等からの課税仕入の控除割合は令和8年10月1日より50%、令和11年10月1日より控除不可となっていますが、改正案では令和8年10月1日より70%、令和10年10月1日より50%、令和12年10月1日より30%、令和13年10月1日より控除不可、と控除可能期間が延びており、さらに段階を踏んだ控除割合となります。また、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から、一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額がその年又はその事業年度で1億を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについては、本経過措置の適用は認められません。

資産課税

資産課税においては、貸付用不動産の評価方法について見直しがあります。
現行では、貸付用不動産は路線価や固定資産税評価額で評価をされた後、貸家及び貸家建付地の調整が行われ、最終評価額が算定されます。
相続税法の時価主義の下、貸付用不動産の市場価格と相続税評価額との乖離の実態を踏まえ、改正案では被相続人等が課税時期前5年以内に取得等をした一定の貸付用不動産について、課税時期における通常の取引価額に相当する金額(時価)によって評価をします。また、課税上の弊害がない限り、貸付用不動産に係る取得価額を基に地価の変動等を考慮して計算した価額の80%に相当する金額によって評価することもできます。

まとめ

今回、実務に関係することをいくつかご紹介いたしました。
令和8年度税制改正は、物価上昇を踏まえた所得控除の見直しや、中小企業の投資促進と大企業の税負担適正化を両立させる内容となっており、企業経営や個人の税務計画に大きな影響を及ぼします。
特に、給与所得控除や基礎控除の引き上げは個人の所得税軽減につながり、法人税制の改正は設備投資や賃上げの促進策に変更をもたらします。
ただし、給与所得控除や基礎控除の引き上げは高額所得者については変更がないため、引き上げの対象に該当するかどうかの確認は必要です。
また、消費税の免税事業者等に関する控除見直しは、病院等規模が大きい事業者にとって重要なポイントになるかと思います。

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