年収の壁 2025.5.22

年収の壁

令和 7 年度の税制改正により、 基礎控除・給与所得控除が見直されました。 3つの壁 (住民税 100 万円の壁、所得税103万円の壁、社会保険料130万円の壁)はどのように変化するのかを理解し、時には助成金制度をうまく活用することにより事業主の方にとっての人材確保に繋がります

税金の壁

所得税の壁

① 本人の所得税
103万円の壁から160万円の壁に変更となります 。令和7年度以後、基礎控除58万円、特例の基礎控除37万円、給与所得控除65万円となり160万円までは所得税が発生しません。

基礎控除の見直し
合計所得金額 改正前 改正後
令和7・8年 令和9年以降
132万円以下 48万円 95万円
(うち特例措置37万円)
58万円
132万円超〜336万円以下 88万円
(うち特例措置30万円)
336万円超〜489万円以下 68万円
(うち特例措置10万円)
489万円超〜655万円以下 63万円
(うち特例措置5万円)
655万円超〜2,350万円以下 58万円

※合計所得金額132万円以下の特例措置は恒久となりますが、合計所得132万超え655万円以下の特例措置は2年間のみ適用となります。

給与所得控除の見直し
給与の収入金額 給与所得控除額
改正前 改正後
162万5,000円以下 55万円 65万円
162万5,000円超〜180万円以下 その収入金額×40%-10万円
180万円超〜190万円以下 その収入金額×40%+8万円

② 扶養控除
・配偶者控除
配偶者控除については、103万円の壁から123万円の壁に変更となります。令和6年度までは給与収入が 103 万円までは配偶者控除の適用ができましたが、令和7年度より123万円まで配偶者控除の適用ができるようになりました。
123万超えから201万円までは配偶者特別控除が適用できます。

・アルバイトをしているお子様の扶養控除
アルバイトをしている19才以上23才未満の親族を扶養している場合はどうなるのでしょうか。
その場合は給与収入が 150 万円までは、特定親族扶養控除 63 万円が適用されます。
150万円超えから188万円以下までは段階的に61万円から3万円の控除金額が適用されます。
住民税の壁自治体により金額基準が少し異なりますが、100万円の壁から110万円の壁に変更となります。
10万円だけですが引き上げされました。適用は 190 万円以下の給与収入の方に限られているので注意が必要です。
なお、令和7年の毎月の給与で計算される源泉徴収額に変更はありません。年末調整時に改正後の源泉所得税の調整計算がされます。令和8年1月以降は、毎月の給与にて改正後の源泉所得税額が反映されます。

社会保険料の壁

社会保険の支払いが発生するのは130万〜(お勤め先の企業規模によって106万円〜)というのには変更はありません。
106万円の壁には月額8.8万円以上という判定基準が加わります。また、対象となる収入は家族手当、精勤手当、通勤手当、時間外手当、賞与等を除く給与となります。
130万円の壁の対象となる収入は、 通勤手当も含めた給与、 賞与等の恒常的な収入となります。

扶養を外れてしまうと手取りが減ってしまいますが、 それをカバーすることができる年収の壁支援パッケージがあります。その支援のうちキャリアアップ助成金 (社会保険適用時処遇改善コース)では、1人あたり最大 50 万円支援されます 。1年目20万円、2年目20万円3年目10万円になります。
また、収入増加が一時的であった場合、事業主の証明により130万円以上でも社会保険の
扶養が引き続き認定されます(一定要件を満たす必要あり)。

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