2025年話題の施設から医業経営を考える 2025.2.7

今回よりこちらのコラムがリニューアルとなり、税理士法人名南経営ヘルスケア事業部の
メンバーが順番に執筆していきます。より充実した内容となるようにメンバー一同努めてまいりますので今後ともよろしくお願いいたします。
さて、早速本題に入ってまいります。皆様がご覧になっている頃には、2025 年もはや1か月たつ頃かと思います。今年大きな注目を集めているトピックスの一つに沖縄県で開業予定のテーマパーク『JUNGLIA (ジャングリア) 』があります 。こちらの施設の仕掛け人は大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や東京都の西武園ゆうえんちの再建や丸亀製麺の業績回復など、多くの成功事例をもつ株式会社刀の代表取締役兼 CEO 森岡毅氏です。
テレビや YouTube のインタビュー、著書など一度はご覧になったことがある方も多いので
はないでしょうか?
今回はそんな森岡毅氏の考え方を2つ紹介しつつ、医療機関の経営について考えていきたい
と思います
① 「定数」と「変数」
私個人的には森岡氏の考え方の中で一番印象に残っております。ここでいう「定数」とは自分ではどうしようもない(変えられない)こと、「変数」とは自分次第で変えられることを指します。経営学的な言葉で表記するとすれば「定数」とは外的要因のこと、一方で「変数」とは内的要因でしょうか。ある事象や経営課題を考える際にまず自分ではどうしようもないこと( 「定数」 )と自分次第で変えられそうなこと( 「変数」)を見極めた上で、「変数」に対して自分のもつリソースを最大限注ぐことで成果が最大化されるという考え方です。
逆に「定数」にリソースを注いでしまうと、自分ではどうしようもないことに力を使ってしまうので満足のいく結果は出にくいということになってしまいます。
医業の経営に置き換えれば、診療報酬や職員さんの性格、人柄、競合となる医院の動向などは自分ではどうしようもない「定数」であります。一方でどの加算を算定するかや職員の採用、配置、自院での差別化のためのストラテジー等はある程度先生方ご自身でコントロールできる「変数」といえます。これらをより正確に見極めることが最初の重要な意思決定になると考えます。
② 「強み」を活かすこと
力を注ぐべきリソースを決めたのち、 「ではどうしていくのがいいのか」 という悩みが生
じます。森岡氏の場合はその人(もの)の「強み」を最大限に活かす戦略を構築します。
なぜならば「弱み」は、頑張っても普通になるのが精一杯であり、他の競合と差をつける要素にはなりにくいと考えているからです。例えば、USJ の再建では「ユニバーサル・ワンダーランド」の建設による小さな子供連れ家族向けエリアの創出や、「ユニバーサル・クールジャパン」などのシーズンイベントの強化、西武園ゆうえんちでは昭和レトロ感を強みに変えて再興していきました。
先生方に置き換えれば、今まであまりやってこなかった診療を流行っているからと取り入れられるよりも、先生方の得意分野や専門性、人柄、導入されている医療機器等自院の優れているところや先生方の土俵での展開をご検討されることが成功への確度はより高まると言えます。
今回は森岡氏の考え方をもとに医療機関の経営について考えてみました。先生方の今後の意思決定の参照になれば幸いです。
余談ですが、しっかりした意思決定にはやはり根拠のある数字で試算することが重要です。
私たち名南コンサルティングネットワークでは各専門家が課題解決のためより正確な根拠を提示し、先生方の意思決定がより良質なものとなるようにサポートをさせていただいております。
お悩み事等ございましたらお気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

寺田将之
2018年税理士法人名南経営に入社。 診療所及び歯科診療所、調剤薬局等の会計・税務顧問業務に従事。 会計税務にとどまらず、中小企業診断士としての知見や実務経験に基づいた診断助言を行っている。 顧客の考えを整理し、様々な情報と組合せたうえでの最適な方法の提案には定評があり、 特に成長志向の高い顧客層からの支持を得ている また、近年は上記の会計・税務顧問業務以外にも、開業支援業務にも注力している。