令和5年度税制改正 2023.7.11

令和5年度税制改正

毎年行われております税制改正に関しまして、令和 5 年度税制改正要望が各省庁から提出され、令和 4年 12 月 16 日に「令和 5 年度税制改正大綱」が与党より公表されました。
その中でも、医療・介護事業を営む事業者に大いに関係する厚生労働省から提出された主な内容は下記の通りであり、従前の制度についての延⾧事項が多くなっております。

1.地域医療構想実現に向けた税制上の優遇措置の延⾧

医療機関の開設者が再編計画に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を3年延⾧し、令和 8 年 3 月 31 日までとする内容です。

2.医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の特例措置の延⾧等

良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正を前提に、持分なし医療法人への移行計画の認定制度に基づく特例措置について、その適用期限を令和8年 12 月末まで延⾧するという内容です。
併せて、当該認定制度における移行期限について、移行計画の認定の日から起算して5年(現行:3年)を超えない範囲のものとする等の措置を講じるものとされ移行期限が緩和されたという内容です。

3.医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度の延⾧

医療用機器等の特別償却制度について、医療用機器に係る措置の対象機器の見直しを行った上、制度の適用期限を2年延⾧し、令和 7 年 3 月 31 日までに取得し、事業の用に供した場合について適用するという内容です。

4.試験研究を行った場合の法人税額等の特別控除(研究開発税制)の延⾧等

研究開発税制(法人税額から試験研究費の一部を控除できる制度)について、企業が研究開発投資を増加させるインセンティブの更なる向上を図るため、一般型の控除上限及び控除上限の上乗措置、一般型の控除率の上限引上げ措置の適用期限の3年延⾧し、令和 8 年 3 月 31 日までに開始する事業年度につい
て適用するという内容です。

5.医療保険制度改革に伴う税制上の所要の措置

健康保険法の出産育児一時金等について、所要の法令改正を前提に、引き続き非課税措置等を講ずるという内容です。

6.国民健康保険税の課税限度額の見直し及び低所得者に係る国民健康保険税の軽減判定所得の見直し

①国民健康保険税の課税限度額の見直し(引上げ)を行う。
②低所得者に対する国民健康保険税の減額の対象となる世帯の軽減判定所得について、経済動向等を踏まえ、所要の見直し(引上げ)を行う。

  • 病院・診療所・介護施設の経営変革をここから

木村 旭弘

2009年税理士法人名南経営に入社。 入社より病院、医療法人、個人の診療所・薬局・歯科医院等の医療機関の 会計・税務顧問業務を主に従事。 その他にも社会福祉法人、公益法人等を担当し、幅広い種類のクライアントを経験している。 現在は医療機関の新規事業参入支援も行っている。