社会福祉法人と軽減税率

2019年9月18日

令和元年10月1日より、消費税における軽減税率制度が導入されました。社会福祉法人も例外ではなく、この影響を受けることになります。
社会福祉法人で影響があるものは、
・収入に関するもの
・支払いに関するもの
の、大きく2つにわかれます。
今回は、収入に関するものについて解説いたします。

1.消費税の仕組み

消費税法第4条では、国内において事業者が行った資産の譲渡等には、消費税を課すると規定されています。つまり、日本国内で行われること、個人事業者や法人といった事業者が行うこと、資産の譲渡等に該当すること、の3つの要件を満たす取引については、消費税の課税取引ということになります。資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(消費税法第2条第8項)とされており、物を売ったりサービスの提供を行ったりした場合に、対応する代金を受け取ることを意味します。
社会福祉法人でも、この3要件を満たす場合には、消費税は課税取引となります。法人税と間違われることが少なくないのですが、法人税が非課税の非収益事業であっても、消費税は課税取引ということも少なくありません。
例えば、介護事業を考えてみると、国内で行われており、事業者が行っており、提供したサービスに対応する給付費・利用料を受け取っているため、3要件を満たすと考えられます。

2.社会福祉事業の消費税

3要件を満たし、取引内容が課税取引と判断されても、社会通念上馴染まない取引など、非課税である取引があります。土地の貸付や譲渡、国または地方公共団体の手数料等、一定の医療費や療養費等が挙げられています。この中に、以下の3つが含まれています。
・イ 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定に基づく居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス(訪問介護、訪問入浴介護その他の政令で定めるものに限る。)、施設介護サービス費の支給に係る施設サービス(政令で定めるものを除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの
・ロ 社会福祉法第二条(定義)に規定する社会福祉事業及び更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第一項(定義)に規定する更生保護事業として行われる資産の譲渡等(社会福祉法第二条第二項第四号若しくは第七号に規定する障害者支援施設若しくは授産施設を経営する事業、同条第三項第一号の二に規定する認定生活困窮者就労訓練事業、同項第四号の二に規定する地域活動支援センターを経営する事業又は同号に規定する障害福祉サービス事業(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第七項、第十三項又は第十四項(定義)に規定する生活介護、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)において生産活動としての作業に基づき行われるもの及び政令で定めるものを除く。)
・ハ ロに掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの
 社会福祉法人で事業を行う場合、消費税の非課税の事業に該当する場合には、非課税取引と判断されます。非課税事業は限定列挙、つまり書かれているものだけが非課税で、書かれていないものは全て課税、ということになります。具体的には、利用者から受け取る利用料で上記に当てはまらないもの、利用者以外から受け取る給食代や駐車場代、生産活動にかかる取引、地方公共団体からの委託事業のうち上記に当てはまらないものなどが、課税取引に該当すると考えられます。

関連記事:地域包括支援センターが行う事業の委託に係る消費税の取扱い

3.社会福祉法人における軽減税率

 消費税の軽減税率制度とは、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に、軽減税率8%が適用される制度です。
 社会福祉法人における軽減税率では、生産活動等で飲食料品を販売している、レストラン事業で持ち帰りを行っている、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け賃貸住宅で食事の提供を行っている等が該当します。
 生産活動等で飲食料品の販売を行っている場合には、酒類を除く飲食料品の販売が軽減税率の対象となります。石けんや手芸品などの飲食料品以外の物品を合わせて販売している場合には、標準税率の収入と軽減税率の収入を区分して経理する必要があります。また、レストラン事業で持ち帰りを行っている場合には、持ち帰りの収入が軽減税率の対象となります。販売の際、持ち帰りかどうかの確認を行うことで、収入を区分して経理することが求められます。
 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け賃貸住宅での食事の提供については、同一の日に同一の入居者に対して行う飲食料品の提供の対価の額が一食につき640円(税抜き)であるもののうち、その日に提供された飲食料品の提供の対価の額から累計した金額が1,920円(税抜き)に達するまでの飲食料品の提供が、軽減税率の対象となります。

社会福祉法人の消費税は、消費税法だけではなく、社会福祉法や介護保険法などの法律も読み込む必要があります。
判断に迷われる場合は、ぜひ弊社までお問合せください。

※令和元年9月時点の法令に基づき記載しております。

山本はるか

2008年税理士法人名南経営に入社。
医療法人、社会福祉法人、社団・財団法人、NPO法人などのパブリックセクターの会計・税務顧問業務に従事。また、上記の会計・税務顧問業務以外にも、公益法人改革コンサルティングや社会福祉法人の新会計基準移行、法改正コンサルティングにも注力している。社会福祉法人向けの講演は多数あり、実務経験に基づいた専門性の高い講演は非常に好評。会計事務所に対してはセミナーDVDも販売されている。