開業前後の診療所経営とマネジメント(経営編)

2019年7月8日
開業前の先生の不安材料は何か

百件を超えるクリニックの開業を支援してきましたが、開業前先生方の一番多い不安材料は‘患者さんの動向’です。つまり「患者さんに来てもらえるだろうか」という点。次に開業の手続きや準備に関する事項で「開業資金はどうやって借りられるのだろうか」「開業準
備は何から始めたらいいのだろうか」の心配から「スタッフの集め方はどうしたらいいのかな、雇用の方法はどうしたらいいのか」等の‘職員問題’という心配が続きます。さらに「開業したら医療監査は来るのだろうか、個別指導はあるのだろうか」という行政関連の不安が。
そして「経営者となるがどうやって運営したらいいのだろか」や「今の自分の実力(レベル)で運営は大丈夫だろうか」等のクリニック経営(運営)についての不安材料が続くようです。
開業後の先生方の不安材料は何か。
では、開業後の先生方の不安(悩み)はどうなるかというと、一番多いのは‘職員問題’です。「思うように動いてくれない」「自分の主張ばかりしてくる」等、雇用したスタッフに対する悩みが多くなるようです。その次に「思った以上に患者さんがこない」「患者数が伸びな
いので収入が増えない」等、‘患者さんの動向’と続きます。そして患者さんが再度来院して続けていただけるか、という医院の質(クオリティーやアメニティー)の向上や本当の医院経営についての悩みが出てきます。

患者さんへのサービス展開

広告やPRは、来院してもらうまでのポイント。患者サービスは、来院してからのポイントとなります。
そのポイントは

1.インフォームドコンセント(説明と同意)
2.院内パンフレットの活用
3.院内報の活用
4.接遇対応
5.在宅医療への展開
6.介護保険との連携

これらが充実しているかどうかを検討してみます。当然、自医院の特徴を前面にだした
医院経営も必要です。

1.インフォードコンセントは、サービスではなく治療の一部へ、そして信者づくりとなります。患者さんは、自分を見てほしい。聞いてほしいと思っています。
2.院内パンフレットは当医院の情報を入れることです。そして病気についての情報も入れておきます。
3.院内報は病気についての情報を入れておくべきです。わかり易く文字だけでなく、絵、図、表、イラストなど用いてわかりやすく記載しておきます。
4.接遇は重要です。患者さんから選ばれるクリニックを目指すべきなので、接遇はかかせません。患者さんが入り口から入って出て行くまでの間、いかに居心地よくしてもらうかです。
5・6.医療保険+介護保険も視野に入れた診療、経営をしていきましょう。介護保険の仕組みやサービスの種類や内容を知っておくことは、医療機関に従事する者には必要です。(デイサービス、老健、デイケア、特養、居宅介護支援所など)
経営(医療)理念を持つ

患者さんを惹きつけるポイントとして、自医院は単純に病気を治すだけではなく、自医院の医院に対する思い(経営・医療理念)を持つことです。開業時に思った‘何のために開業するのか’を自医院に従事するすべての人と共有することです。

経営(医療)理念とは

経営(医療)理念を難しく考えることはありません。最終的に行き着くものとなります。
‘なぜ自医院があるのか’。‘何のために自医院があるのか’。その根本が経営(医療)理念となるのです。その経営(医療)理念を院内の皆が見れるところに掲示しておきましょう。全従事者へ浸透することに加え、患者さんへも見てもらうことが重要です。当医院はこの
ような理念のもとに、患者さんへの治療を行うことを知らしめておくのです。

流行る&流行らない医院のポイント

最後に、流行る医院のポイントと流行らない医院のポイントを掲示しておきます。

《流行る医院のポイント》

✔院長が明るい==笑顔が大事
✔従業員が明るい
✔患者さんに常に言葉をかける
✔最後に声をかける=帰り際
✔薬・治療法の説明をしっかりする
✔髪型・服装等、常に清潔なイメージを出す
✔院内を清潔に==トイレ・スリッパ・椅子等
✔院内のにおいに気を配る==レントゲン廃液等
✔買い物は医院の付近で行なう==顔を売る
✔近くに行きつけの居酒屋をつくる
✔急患を積極的に診る
✔患者さんの名前を覚える
✔患者さんの立場でものを考える
✔聞き上手になる(対患者、対職員等)

《流行らない医院のポイント》

✔院長が暗い
✔機械的な診療
✔冷たい雰囲気
✔患者を怒る
✔治療の話ししかしない
✔待合室が寒い
✔体臭・口臭がきつい
✔院長・従業員の態度が横柄

まとめ
開業は一生のうち何回もあるわけではありません。ほとんどが最初で最後です。その1回の
開業なのでうまくいく方法を十分に考え、実行してください。いくら考えても考えすぎとい
うことはありません。ただし、決断したら前に進みましょう。相談できる人には、どんどん
聞くべきです。流行っている医院はどんどん見ておくべきです。成功しているクリニックは
何かもっています。
医療を取り巻く環境は年々厳しくなっていますが、その中に立ち向かっていく先生方がスムーズに開業され、クリニックの運営もスムーズに行くと思います。

萩原英司

税理士法人名南経営 会計部 営業推進担当
株式会社名南ビジネスマッチング 代表取締役

1984年税理士法人名南経営に入社。
会計コンサルティング部マネージャー、統括マネージャーを経て、2015年より営業推進室 室長に着任、現在に至る。昨今では、病院、診療所、歯科診療所、薬局など医療関連施設の新規開業支援、経営支援、スタッフ教育研修、セミナー等に携わる。当社のクライアント向けセミナーのほか、地域の医師会(地区医師会、歯科医師会)及び薬剤師会への講演実績も多数。