ふるさと納税の見直し

2019年2月14日

平成20年度税制改正において導入された「ふるさと納税」制度は、所得税及び個人住民税の寄附金控除の制度に個人住民税の寄附金控除の特例を利用した制度です。

簡単に言いますと、都道府県又は市区町村に寄附を行った場合には、支出した寄附金のうち2,000円を超える部分が、一定の上限金額までは、所得税と個人住民税から全額控除されるという内容です。

制度が導入されてから、ふるさと納税制度を利用したことのある人は着実に増加し、総務省が発表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」によれば、平成30年度では300万人程の人が同制度を利用したことがあるという結果となっています。

ここまで利用者が増加した要因としましては、①寄附金額のほぼ全額が所得税と個人住民税から控除されること、②寄附に対しての謝礼として贈られる地域の名産品等を2,000円の実質負担で入手することができることが挙げられると考えられます。

自治体も災害復興のために利用する等というように寄附金の使途を明確に定めることや寄附をした人に対して贈る謝礼品等に様々な趣向を凝らすようにしてきました。

その一方で、ふるさと納税制度は、①そもそも寄附という行為に対して返戻品が贈られるということがおかしいこと、②地域の名産品等ではなく、同地域にゆかりのない物や金券等を返戻品としていること、③返戻品の金額割合が寄附金額に対して高くなり過ぎていること等の問題を齎し、自治体間での競争をあおる結果を生み出しました。

そのような状況を踏まえ、総務省は平成27年4月以降、複数回に渡り、各都道府県知事と各指定都市市長に対して、良識ある対応を行うことを求める通知を発出してきました。平成30年9月には、「ふるさと納税に係る返戻品の見直し状況についての調査結果」を公表し、ふるさと納税制度の見直しを検討し、与党税制調査会にて審議する旨の総務大臣の発言がありました。

その結果、平成31年度税制改正において、「ふるさと納税」制度の見直しが実施されることとなりました。その内容は、総務大臣が下記に掲げる基準に適合する都道府県又は市町村をふるさと納税の対象として指定するというものです。
1 寄付金の募集を適正に実施する都道府県又は市町村であること。
2 上記①の自治体が返戻品を送付する場合には、以下のいずれの要件も満たすこと。

(ア)返戻品の返戻割合を寄附金額の3割以下とすること。
(イ)返戻品を地場産品とすること。

尚、上述の制度は、平成31年6月1日以後に支出された寄付金に対して適用されることとなります。同日以後にふるさと納税を利用する場合には、寄附を行おうと考えている都道府県又は市町村が、ふるさと納税制度の対象地域となっているか否かの注意が必要となります。

また、ふるさと納税に係る返戻品は、その返戻品を得た年分の一時所得に該当することとなります。同年分における寄附金額×返戻品の金額割合の合計額が、一時所得の特別控除額(50万円)を超える場合には、確定申告が必要となります。
改正の変更点や施行時期等を十分に踏まえた上で、ふるさと納税制度の当初の目的である「地域創生」に役立つように、ふるさと納税を行って頂くことをお勧め致します。

佐藤易秀

税理士法人名南経営 会計部 マネージャー

1999年税理士法人名南経営に入社。
税理士として、病院・クリニック・社会福祉法人・公益法人等、幅広い種類の法人・個人の会計・税務顧問業務を中心にクライアントの個別のニーズに柔軟に対応、支援を行っている。上記の税務顧問業務から付随的に発生した多方面にわたる各種コンサルティング業務へも従事している。その他医療機関向けの税制改正のセミナーを多数行っている。