持分なし医療法人における交際費課税の注意点

2017年2月14日

今回は、持分なし医療法人における交際費課税についてです。
税法の話になってしまうため、専門用語なども出てきますが、持分なし医療法人の規模の大小に関わらず、非常に重要な経営リスクなのでご一読いただければと思います。

まず、現在(平成27年時点)の一般的な交際費の取扱いについては、原則として、その全額が損金不算入とされていますが、損金不算入額の計算に当たっては、一定の措置が設けられています。

<交際費の損金不算入額>
(1)期末の出資金の額が1億円以下である等の法人(注)

損金不算入額は、次のいずれかの金額となります。
1.飲食に要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額
2.800万円(事業年度が12ヶ月の場合)を超える部分の金額

(2)期末の出資金の額が1億円超である等の法人

1.飲食に要する費用の50%に相当する金額を超える部分の金額

(注) 資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人等は、平成22年4月1日以後に開始する事業年度からは、上記(1)ではなく、上記(2)に従って損金不算入額を計算します。

多くの持分あり医療法人は出資金の額が1億円以下であり、実務上は上記(1)2により、交際費のうち800万円までを損金算入として取扱っています。

それでは、持分なし医療法人においてはどのように取扱うべきなのでしょうか。

持分なし医療法人は出資金を有しないため、上記(1)に該当するのではないかと考えられている方がいらっしゃるかもしれませんが、持分なし医療法人の交際費の損金不算入額の計算においては、税法上、出資の金額に準ずる額というものが定められており、これを出資金の額とみなし上記(1)(2)の区分をおこないます。

出資の金額に準ずる額の計算式は以下の通りです。

<出資の金額に準ずる額>
(期末総資産簿価-期末総負債簿価-当期利益(または+当期欠損金))×60%

持分なし医療法人において内部留保が多くなると、交際費課税における800万円の控除が無くなってしまい、経費で落とせる交際費が大幅に減少してしまう可能性があるため注意が必要です。
このような状況となるのを遅らせるためには、役員報酬や役員退職金などの金額設定による計画的な法人運営が重要となります。

中村慎吾

税理士法人名南経営 医業経営支援部 リーダー
株式会社名南メディケアコンサルティング 部長

2007年税理士法人名南経営に入社。
病院やクリニックなどの税務顧問業務に従事するとともに、医療法人設立・持分なし医療法人への移行等に伴う官公庁への許認可申請手続きや、地域に必要とされる医療機関への相続及び事業承継コンサルティング業務を中心に活動。また、事業承継や医療法人制度をテーマとした刊行誌の執筆や税理士・金融機関向けのセミナーも全国で多数実施。公式ブログ「医療法人経営の実務ポイント」においては医療法人情報を随時提供している。