開業前後の診療所経営とマネジメント(人事編)

2018年6月28日

開業前の先生方の不安材料は何か。
百件を超えるクリニックの開業を支援してきましたが、開業前の先生方で一番多い不安材料は‘患者さんの動向’です。つまり「患者さんに来てもらえるだろうかという点。次に開業の手続きや準備に関する事項で「開業資金はどうやって借りるのだろうか」「開業準備は何から始めたらいいのだろうかの心配から「スタッフの集め方はどうしたらいいのか、雇用の方法はどうしたらいいのか」等の‘スタッフ問題’という心配が続きます。
さらに「開業したら医療監査は来るのだろうか、個別指導はあるのだろうか」という行政関連の不安、そして「経営者となるがどうやって運営したらいいのだろか」や「今の自分の実力(レベル)で運営は大丈夫だろうか」等のクリニック経営(運営)についての不安材料が続くようです。

開業後の先生方の不安材料は何か。

では、開業後の先生方の不安(悩み)はどうなるかというと、一番多いのは‘スタッフ問題’です。
「思うように動いてくれない」「自分の主張ばかりしてくる」等、雇用したスタッフに対する悩みが多くなるようです。
その次に「思った以上に患者さんがこない」「患者数が伸びないので収入が増えない」等、‘患者さんの動向’と続きます。

スタッフの人事労務管理

開業した先生方には、“患者獲得よりも難しい労務管理”という意見が多くあります。いかに院長の意のままに働いてもらうか、これは院長自身も人の雇用の仕方を勉強する必要があります。今回は、スタッフの採用から雇用までのポイントをお話しします。

募集と採用

募集方法(開院の3ケ月前から)
スタッフ募集の方法は、折込チラシ・新聞広告・求人雑誌・地域の情報誌・ハローワーク・ナースバンク・人材派遣会社・院長が連れてくる、等の方法があります。また、開業前に自院のホームページを立ち上げ、その中でオープニングスタッフを募集する方法もあります。
短期間で集めるには、折込チラシ、新聞広告、求人雑誌、地域の情報誌等、費用をかけない方法であれば、ハローワーク、ナースバンク、院長が連れてくる等があります。なお、院長が連れてくる場合は要注意です。そのスタッフの鼻が伸びる可能性があるからです。「私は院長の顔見知りだから」「特別扱いされているから」という考えを持たれる可能性があります。

書類選考のポイント

履歴書に誤字脱字はないか、積極的に働きたいと感じさせているか、必要事項は全て記入されているかなどを重点に確認します(写真にはこだわらない方がよいでしょう。面談してみて初めて感じる(わかる)部分もあります)

面接のポイント

面接時には、業務の知識はあるか、人当たりの良さは感じるか、技術があるか(経験があるか)を必ずチェックします。また、面接官に女性(奥様等)も加えるとよいでしょう。面接時のチェックシートの活用や小テストも有効です(常識問題)。質問には制限があります(聞いていいことといけないこと)が、前職の退職理由を必ず聞いておくべきです。他責にする方は、後々同じことが繰り返される傾向にあるようです。また、採用結果の電話連絡もポイントです。自宅などに居る時の電話の出方などは素が出ます。面接時とは異なるような感じでは困ります。

採用のポイント

次の基準で選考されるとよいのではないでしょうか。‘素直さ’‘明るさ’‘誠実さ’‘姿勢’‘働かせてほしいという態度’が感じるかどうかです。開業医院(院長)の色に染められるかどうかが重点ポイントです。そのためにも素直で明るく、誠実な人が望ましいのです。 

採用後の社会保険関係の手続き

職員を採用すると、社会保険関連に加入しなくてはなりません。まずは労働保険の加入(労災保険・雇用保険)、社会保険の加入(健康保険・社会保険/国民健康保険/医師国保・年金・厚生年金/国民年金)を行ないます。ただし事業主は社会保険、厚生年金への加入はできません(個人事業の場合)。

開業当初が肝心

開業時の教育が開業後のクリニックの風土をつくります。開業当初の教育や行動が、将来のクリニックの形となります。『良い人材は宝』です。採用はクリニック開業における重要項目です。

開業に向けて

開業する準備ができ、いざ開業する段階で必ず必要になるのが“経営理念を持つ”ということです。何のために開業するのか、最終的に行き着くものとして院内に掲示やスタッフへの浸透をはかる必要があります。医療情勢は厳しいですが、正しく開業準備を進めていくことによって、開業後のスムーズな
運営につなげていくことができると確信します。

萩原英司

税理士法人名南経営 会計部 営業推進担当
株式会社名南ビジネスマッチング 代表取締役

1984年税理士法人名南経営に入社。
会計コンサルティング部マネージャー、統括マネージャーを経て、2015年より営業推進室 室長に着任、現在に至る。昨今では、病院、診療所、歯科診療所、薬局など医療関連施設の新規開業支援、経営支援、スタッフ教育研修、セミナー等に携わる。当社のクライアント向けセミナーのほか、地域の医師会(地区医師会、歯科医師会)及び薬剤師会への講演実績も多数。