社会福祉法人における関連当事者の範囲と取引に係る開示対象範囲の改正について

2018年3月13日

社会福祉法改正に伴い、社会福祉法人会計基準の関連当事者の一部に改正がありました。
この変更は、平成29年度決算から適用されます。

関連当事者の範囲と取引に係る開示対象範囲は、下記の通りに改正されています。

「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて」

26 関連当事者との取引について
運用上の取り扱い第21における関連当事者との取引の内容について計算書類に注記を付す場合の関連当事者の範囲及び重要性の基準は、以下のとおりである。

(1)関連当事者の範囲

ア 当該社会福祉法人の常勤の役員又は評議員として報酬を受けている者及びそれらの近親者(3親等内の親族及びこの者と特別の関係にある者。なお、「親族及びこの者と特別の関係にあるもの」とは例えば以下を指すこととする。)
① 当該役員又は評議員とまだ婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻と同様の事情にある者
② 当該役員又は評議員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持している者
③ ①又は②の親族で、これらの者と生計を一にしている者
イ 当該社会福祉法人の常勤の役員又は評議員として報酬を受けている者及びそれらの近親者が議決権の過半数を有している法人
ウ 支配法人(当該社会福祉法人の財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している他の法人、以下同じ。)
次の場合には当該他の法人は、支配法人に該当するものとする。
・他の法人の役員、評議員若しくは職員である者が当該社会福祉法人の評議員会の構成員の過半数を占めていること。
エ 被支配法人(当該社会福祉法人が財務及び営業又は事業の方針の決定を支配している他の法人、以下同じ。)
次の場合には当該他の法人は、被支配法人に該当するものとする。
・当該社会福祉法人の役員、評議員若しくは職員である者が他の法人の評議員会の構成員の過半数を占めていること。
オ 当該社会福祉法人と同一の支配法人を持つ法人
当該社会福祉法人と同一の支配法人を持つ法人とは、支配法人が当該社会福祉法人以外に支配している法人とする。

(2)関連当事者との取引に係る開示対象範囲

ア 上記(1)ア及びイに掲げる者との取引については、事業活動計算書項目及び貸借対照表項目いずれに係る取引についても、年間1,000万円を超える取引については全て開示対象とするものとする。
イ 支配法人、被支配法人又は同一の支配法人を持つ法人との取引
① 事業活動計算書項目に係る関連当事者との取引
サービス活動収益又はサービス活動外収益の各項目に係る関連当事者との取引については、各項目に属する科目ごとに、サービス活動収益とサービス活動外収益の合計額の100分の10を超える取引を開示する。
サービス活動費用又はサービス活動外費用の各項目に係る関連当事者との取引については、各項目に属する科目ごとに、サービス活動費用とサービス活動外費用の合計額の100分の10を超える取引を開示する。
特別収益又は特別費用の各項目に係る関連当事者との取引については、各項目に属する科目ごとに1,000万円を超える収益又は費用の額について、その取引総額を開示し、取引総額と損益が相違する場合は損益を併せて開示する。ただし、各項目に属する科目の取引に係る損益の合計額が当期活動増減差額の100分の10以下となる場合には、開示を要しないものとする。
② 貸借対照表項目に係る関連当事者との取引
貸借対照表項目に属する科目の残高については、その金額が資産の合計額の100分の1を超える取引について開示する。

なお、上記に該当する取引がある場合には、下記の内容を注記する必要があります。

「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」
21 関連当事者との取引の内容について(会計基準令第29条第1項第12号及び第2項関係)
1 関連当事者との取引については、次に掲げる事項を原則として関連当事者ごとに注記しなければならない。
(1)当該関連当事者が法人の場合には、その名称、所在地、直近の会計年度末における資産総額及び事業の内容
なお、当該関連当事者が会社の場合には、当該関連当事者の議決権に対する当該社会福祉法人の役員、評議員又はそれらの近親者の所有割合
(2)当該関連当事者が個人の場合には、その氏名及び職業
(3)当該社会福祉法人と関連当事者との関係
(4)取引の内容
(5)取引の種類別の取引金額
(6)取引条件及び取引条件の決定方針
(7)取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高
(8)取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容

役員の範囲が理事だけでなく評議員まで広がることとなり、非常に煩雑となることが想定されます。
役員との取引がある場合には、決算に先立ち取引内容についてまとめておく必要があります。

山本はるか

税理士法人名南経営 会計部 マネージャー

2008年税理士法人名南経営に入社。
医療法人、社会福祉法人、社団・財団法人、NPO法人などのパブリックセクターの会計・税務顧問業務に従事。また、上記の会計・税務顧問業務以外にも、公益法人改革コンサルティングや社会福祉法人の新会計基準移行、法改正コンサルティングにも注力している。社会福祉法人向けの講演は多数あり、実務経験に基づいた専門性の高い講演は非常に好評。会計事務所に対してはセミナーDVDも販売されている。