開業するドクターの準備と心構え

2017年12月1日

開業希望ドクターの状況

開業を考える先生にとっては次の三つが無い状態となっています。まず病院内のポストが無い、次に開業する場所が無い、そして開業するお金が無いという三つの状態です。さらに、日本の人口は減少しており、競合医院の増加により、患者の取り合い等が予想されます。これから開業するドクターは、より慎重に開業の準備を行い開業後に適正な経営ができるようにしていかなくてはなりません。それには間違いの無い事業計画が必要なのです。

開業に当たっての不安

開業するドクターが開業前で心配なのは、患者の動向、開業資金、開業準備手順、職員の人事労務、医療行政関連、経営者の責任、医療技術・知識等です。
開業後に悩みが多くなるのは、職員の人事労務、患者の動向、医療行政関連、経営者の責任(資金繰りや経営手腕)等の順になります。
開業前は患者に来てもらえるのかどうかの悩みが多いのですが、開業後は雇用したスタッフのことで悩みが多くなるようです。

開業のスケジュール

開業における準備とスケジュールは次の順に決定させるとスムーズに進むと思います。

1.医業経営コンサルタント選定・意思決定
2.開業地選定・事業計画
3.資金調達・設計・施工
4.医療機器選定及び決定
5.スタッフ採用・育成
6.広告・宣伝・医師会への対応
7.行政関連・薬品選定及び購入
8.退職の時期の順です。

まず何から始めるかを相談するのは、身内、友人、先輩、業者、自分で探す、という状況ですが、進めていくには同時進行していく場合が多いので、常に今何をしなくてはならないか把握しておく必要があります。この場合コンサルタントへ任せることで安心できます。

開業地の選択方法

開業地選定の着眼点は
1.競争に勝てる地域選び
2.勤務地に近い場所
3.出身地に戻り開業
4.既に患者導線が出来ている地区
5.事業承継案件です。
特に最近は事業承継案件を求めるドクターが多くなっています。
競争に勝てる地域選びの場合では、周りにクリニックが少ない場所やお年寄りの診療所が近い場所や車社会に対応するため駐車場が広い場所が望ましいと考えます。
勤務地に近い場所では、知名度があるので今診ている患者が確保しやすいメリットがあります。
出身地に戻っての開業では、身内が宣伝してくれるメリットや出身の小中高があり、友人がいることや道を知っていることで導線がわかるというメリットがあります。
既に導線が出来ている(集合型の開業もある。)とは、既に流行っている他科クリニックの近くで開業することや幼稚園、小学校、中学校の近くで開業するメリットもあります。
事業承継案件を選択するメリットは現状の患者を確保できることと立ち上がりの不安は少ないというメリットがあります。

診療圏調査

開業地の人口と競合医院の状況を調査し、実際に開業したら一日当たり何人の患者が来るかを予想する方法です。次の内容で把握できます。開業地周辺の人口、競合医院の状況、診
療科別の受療率、診療単価、で医院収入を把握します。
*予想人数:開業地周辺の人口×受領率=A A÷(地域の競合医院+1)=B
*予想収入:B×診療単価=予想1日当りの収入(C) C×年間診療日数=年間予想収入
最近では、年齢別の受療率で、より計画的に詳細に出せます。

これら、厳しい環境の中、開業するには「しっかりした事業計画と投資計画」を立てる必要があります。

適正な事業計画の立て方

1.事業計画書の作成
事業計画書の作成方法は、投資計画(土地、建物、医療機器、入会金等)、採用人員、資金
調達、必要生活費、必要経費により必要収入と予想収入を出します。そして、診療圏調査か
ら、来院される予想収入により、必要収入より予想収入が多ければ適正であり、必要収入より予想収入が少なければ再検討が必要となります。

2.開業のタイプ
まず、土地購入しての開業、借地での開業、普通借地・定期借地権での開業、借家での開業、普通借家(テナント)、定期借家での開業などがあります。

資金調達の方法と上手な借り方

開業資金の調達は、自己資金を使う場合と借り入れる場合があります。自己資金の場合は、預貯金・親族の資金援助等があります。借入資金の場合は、金融機関等にて行いますが、担保物件の確認、元金据置期間・借入返済方法等を検討します。

開業に向けて

開業する準備ができ、いざ開業する段階で必ず必要になるのが“経営理念を持つ”ということです。何のために開業するのか、最終的に行き着くものとして院内に掲示や職員への浸透をはかる必要があります。

医療情勢は厳しいですが、正しく開業準備を進めていくことによって、開業後のスムーズな運営につなげていくことができると確信します。

萩原英司

税理士法人名南経営 営業推進室 室長
株式会社名南ビジネスマッチング 代表取締役

1984年税理士法人名南経営に入社。
会計コンサルティング部マネージャー、統括マネージャーを経て、2015年より営業推進室 室長に着任、現在に至る。昨今では、病院、診療所、歯科診療所、薬局など医療関連施設の新規開業支援、経営支援、スタッフ教育研修、セミナー等に携わる。当社のクライアント向けセミナーのほか、地域の医師会(地区医師会、歯科医師会)及び薬剤師会への講演実績も多数。