CASE:S様 特定医療法人への移行 【経営支援】

背景

創業40年の中堅病院を運営する持分あり医療法人。現在の理事長(68)は2代目経営者であり創業者の息子である。
創業者は既に他界しており、その際は現在の理事長が多額の相続税を負担していた。相続税が多額となったのは、医療法人の出資持分の評価が高額であったことや、その出資持分の大半を創業者が所有していたことが原因。
相続税を何とか支払い、難を乗り切ったものの、相続において創業者が所有していた出資持分を現在の理事長がすべて相続したため、現在の理事長からその後継者である息子に同様の事案が発生するのではないかと心配になり当社へご相談いただいた。

ニーズ

理事長としては後継者に金銭的な迷惑をかけたくないとの想いが強く、迷惑をかけるくらいであれば医療法人をM&Aで売却するなどして第三者承継を選択してもよいとの考えであった。
また、後継者となる予定の息子は医療法人を承継したいとの想いが強いものの、医療法人を承継するにあたり多額の納税が発生するのであれば難しいとの考え。

当社の対応

理事長からの相談をいただき、まずは現状の医療法人の出資持分の評価を算定。
理事長が所有する出資持分の相続税評価額は約15億円であり、相続が発生すると息子は事実上現金化できない医療法人出資持分を受取る一方で、約7億円の相続税を現金で支払う必要があることが判明。
これを受け、理事長としてはM&Aにより第三者承継を選択する考えが強くなったが、医療法人を承継したいという息子の意見とは食い違いが生じることになった。
息子に金銭的負担を与えずに、医療法人を承継することができれば最良の結果であるため、当社から特定医療法人への移行を提案。
特定医療法人となれば、出資持分の相続税評価額は無くなり医療法人の承継について相続税や贈与税が発生することはないため非常に有用な手法である。特定医療法人の制度(非同族要件ほか)を理事長らに説明したところ、デメリットよりもメリットの方がはるかに上回るとして、当制度を適用して事業承継を進めることを即日決定した。
その後は、具体的なスケジュールを共有し、特定医療法人移行のコンサルティングがスタート。都道府県、厚生局、国税局への認可申請・事前審査・折衝のほか特定医療法人の要件を満たすための法人支援を行うことになった。

結果

無事に国税庁長官から承認が下り特定医療法人となった。これにより出資持分にかかる相続税は一切発生せず、息子は安心して医療法人を承継することができた。

項目 経営支援 特定医療法人への移行
業態 病院 病床機能:一般(10対1)